女子美術大学付属高等学校・中学校|デジタルパンフレット
3/44

美」を培う、女子美の教育の成果です。公立高校で新米美術教員として勤めていた頃、生徒に技法や理論を教えることは何とかできても、自ら課題を探すこと、アイデアを出すこと、最終的に独自の世界を表現することへと導くには、なかなかの苦労がありました。しかし、一度美術の授業でそのスキルを身につけて達成感を得た生徒が、素晴らしく成長していくのを目の当たりにしました。美術の授業で得た力が学校生活全般に影響を与え、学校行事への意欲や他の教科の成績アップに結びついていくことにも気がつき、これこそが「美術の力」だと大きな驚きを感じました。今で言う「非認知能力」の育成ですね。女子美では長年にわたり知的能力や実技力と同時に、この「非認知能力」を伸ばす教育を研究し実践して素晴らしい成果を上げています。女子美の校長として着任した時の、生徒の作品の素晴らしさはもちろん、明るく元気な女子美生の学校生活への意欲と情熱、自己肯定感の高さは衝撃的でした。そして個性豊かな女子美生が、自分を主張するだけでなく、級友や先輩の作品を通して多様性を学び、他者を認める様子にも感心しました。まさに「智の美」や「芸の美」を伸ばし「心のこの「三つの美」は、将来美術以外の進路を選択する生徒にも大きな力となります。社会のニーズは大きく変わり、美術で培った能力は、作家やイラストレーターなどの創作活動やデザイン分野のみならず、一般企業の総合職でも大いに期待されています。付属校として中・高・大の連携の絆は強く、毎年8割近い生徒が女子美術大学に進学しますが、この4月から大学に新しくできた「共創デザイン学科」も人気です。多様な領域の人々と共に新しい価値を創造する「共創型リーダー」を目指す学びの場。世界のあらゆる場面や業種に通用する、自立した女子美生の誕生です。絵を描くことが好き、あるいは、ものを作ることが好きな個性豊かな生徒が集まっている女子美ですが、こんな女子美に興味を持った受験生のあなたに、入試準備のお話をしますね。まず、中学入試には実技は有りません。小学生のあなたは上手でなくても大丈夫、何しろ「好き」であることが女子美生の条件です。教科の学習を一生懸命頑張るのと同時に、「絵を描くことが好き」、あるいは、「ものを作ることが好き」とはっきり言うことができるか、考えてみてください。中学生のあなたはその「好き」を大事にしながら、実技もしっかり練習してください。高校入試では基礎がしっかりできているか、自分を表現できているかを見るために、デッサンか水彩かを選んで実技試験を行います。そして入学した後の美術の授業は、どのような内容でしょうか。中学生は美術を楽しむことから始めて2時間続きの授業が週に2回、高1では多岐にわPROFILE女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻卒業。絵画教室主宰、建築デザイン事務所勤務を経て、神奈川県立高校専任教諭となる。以後教頭、副校長を務め2008年4月より校長に就任。その間全国高等学校美術工芸教育研究会副会長、神奈川県高等学校教科研究会美術、工芸部会会長等を歴任し、2014年4月より女子美術大学特別招聘教授、現在に至る。2017年4月より女子美術大学付属高等学校・中学校校長。たる分野を体験し、美術史も学んで週7時間、高2からは①絵画、②デザイン、③工芸・立体の3つのコースから自分の最も好きな分野を一つ選択して専門的に学び、週10時間の授業となっています。そして高3では女子美生の集大成、卒業制作へと挑戦です。芸術作品を産み出すにはたくさん悩み、たくさん苦しむこともあるでしょうが、それを乗り越えた時の成長は著しいものがあります。その他、高3には「学科選択」の講座も用意しています。美術以外の進路を希望する生徒には、例え一人であっても必要とする科目を開講しています。将来の道を美術に限定していないあなたも、どうぞ安心してご入学ください。女子美の魅力を肌で感じていただくために、どうぞ学校説明会や授業見学会、女子美祭や運動会などの機会に、ぜひ女子美へ足をお運びください。教職員と在校生一同、心よりお待ちしております。2学校長 石いしかわ川 康やすこ子

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る