聖徳学園高等学校|デジタルパンフレット
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私たちが母校で教える理由TeachersSDGs、ICT教育、聖徳のこれから●31岡本 海外研修でアメリカのユタ州に行くプログラムがありました(現在は内容を変更しています)が、学校長が「現地で話せない子のほうが、帰国してから積極的に英語を学ぼうという姿勢になるので、そこから英語力が伸びる」と語っていたのが印象的です。もちろん英語科は英語を教えるのですが、その目的は、生徒が国際的な視野を持つことであって、教員はそれを支えるために英語を教えているのだと思いました。竹内 海外研修はアクティビティや人と関わるプログラムが多いです。いろいろな体験を通じて感じたことを言葉で表現したいと思ったときに、英語を勉強したいという気持ちになれるようなプログラムです。清水 いろいろな興味関心を持つために、きっかけ作りをするのが教員の役目だと思います。ユタの他にも、開発途上国の国際協力プロジェクトもあります。アフリカのルワンダは、普通の高校生にとっては馴染みのない遠い国かもしれないし、もしかしたら現地の状況がわからなくて不安だと思う人がいるかもしれません。でも聖徳の生徒たちは不安よりも「普通の高校生にはできない体験ができる」という感覚のほうが強いです。実際、プロジェクトの中心となる先生自身も、英語がまったくできない状態で海外に出ていき、スクールカウンセラーの資格を取ったというのですから。今は知識の詰め込みだけで大学に行く時代ではなくなっています。教員自身がさまざまな経験をして、その経験をすべて生徒に還元する。生徒にさまざまな体験ができる機会を提供して、希望する将来に向かって背中を押すのが教員の役目。自分たちも聖徳で、そのような教育を受けてきました。宮地 私が高校生のときに取り組んだシンクロの世界では、学業と両立できなくてやめてしまう人もいました。試合があるので学校を休んだら、「0点にするぞ」と言われた他校の仲間もいました。でも聖徳は、勉強以外のことも頑張れるように手助けをしてくださいました。勉強と両立できる環境を作っていただけたのは本当に有り難かったです。中高の保健体育の教員になりたいという夢を実現できたのは、聖徳の先生方が親身になってサポートしてくれたからです。竹内 多くの生徒が自分のやりたいと思うことを見つけています。清水 いろいろあっていいんだよ、という雰囲気が学校の中にあります。社会のさまざまな分野で活躍する卒業生を招いて「卒業生から学ぶ会」を開催していますが、それを聞いた在校生は「自分が卒業したら、先輩のように母校の後輩に話がしたい」と思うようです。先輩が後輩に何かを語りに来るという道が出来上がっています。昨年はコロナ禍で大学も休校になったこともあり、卒業生が学校説明会の手伝いや模試の監督に来てくれました。困ったときにこそ卒業生が助けてくれるのだというのは、コロナ禍で特に強く感じました。竹内 これからの聖徳学園は、SDGsを軸にして、地球全体が抱える課題を解決できるような教育を進めたいと考えています。清水 社会問題を扱うSDGsといえば地歴公民科ということで、僕が担当することが多いけれど、これからはすべての教科で取り組むのが理想です。今のところは総合の授業で取り組み、プレゼンテーションまで行っていますが、他の教科でもその教科なりの視点で導入することができると思います。今は全教員がSDGsを研究している段階です。竹内 STEAM教育に関しては、特にArtsに力を入れたいと考えています。宮地 保健体育科としては、Arts分野に関わることが多いです。体育でダンスの授業がありますが、最初は身体表現をするのが恥ずかしい子もいます。でもお互いにダンスをする姿を撮影しあったり、人前で発表する経験を積み重ねていくうちに、2年生の終わり頃には自分で振り付けを考えて堂々と発表できるようになります。そこに自己表現の成長を感じます。岡本 部活動以外のクラブチームや習い事で、自己表現をする人も多いです。ダンス部では、学校外でダンスを習っている人もいました。竹内 ICT教育に関しては、コロナ禍でリモート授業に取り組んだ結果、かなり推進されました。今はその実績を検証して、ICTを推進するとともに対面授業の価値を高めていく段階です。世界が大きく変化する中で、教育の在り方もまた、新しい形が求められる時代が来ています。そこでどのような教育を創造するのか、教員全体で共有しているところです。岡本 英語の授業では、自分のスピーチやグループディスカッションを撮影して振り返りをする取り組みもあります。その中にはトライ&エラーがありますが、うまくいかなかったら次に挑戦してみようという姿勢は、生徒だけでなく教員の側にもありますね。宮地 生徒がやりたいと思うことを見つけるところから、一緒に探してくれるのが聖徳の先生方でした。「一生懸命やろう!」ということが見つかったときには全面的にサポートしてくれて、道がそれたときは修正してくれました。まさに生徒一人ひとりと向き合ってくれました。清水 「正解は一つではない」という認識が聖徳のあらゆる学校生活の中にあります。卒業後に歩む道も、その人なりに選んだ道が自分にとっての正解になるのだと思います。竹内 母校の教員になって実感するのは、学校を支えているのは教職員だけではなく、生徒たちにも支えてもらっているということです。みんなが何かにチャレンジしていて、それを認め合い、失敗したら支え合っています。だからこそ、卒業生もさまざまな立場で母校にやってきて、支える側になりたいと思うようです。聖徳の歴史の中で、みんなが認め合い、支え合ういい循環が出来上がっているのではないでしょうか。

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